メッセージ
2025.03.31

長期投資家の皆さまへ(臨時)

真贋が問われる不確実時代

トランプ政策の不確実性

 トランプ新政権発足から2カ月余り。米国第一主義という政治的意志は明確ですが、その体現に向けた具体的政策は、必ずしもそれを合理的に叶え得ると想定出来ない矛盾が渦巻いているようです。故に実体経済にも市場にも不確実性が高まっているわけですが、現状を網羅的に包括すれば、米国経済はトランプ政策が彼の言動に則ってある程度実行されることにより、インフレを再燃させて景気減速へ、ひいてはリセッション(景気後退)の可能性まで惹起させています。そして米国のみならず世界レベルで、産業界は総じて彼の言動と政策実行可能性を推し量り、先行投資はじめ事業計画を逡巡させることで、グローバルに経済活動の停滞要因になると考えられます。
 そもそも世界の経済・貿易活動の前提は互恵の概念で成り立っているところに、相手の都合はお構いなしのアメリカファーストを一方的に強要する振る舞いがすべてまかり通るはずもなく、早くも安全保障問題から欧州が新たな秩序構築へと動き始めましたが、経済活動も米国に依拠せぬ新秩序づくりへと動き出し、トランプ大統領のジャイアン的振る舞いは、やがて行き詰るでしょう。
 

マーケットの意思表示

 金融市場は2月下旬からモメンタムが急変して、米株式市場はS&P500、ナスダック共に年初来高値から1割超の下落が進み、長期調整局面の可能性を示す弱気相場入りに転じました。現在目の当たりにしているトランプ政権の姿勢に、市場が失望と共に賛意を持っていないとの意思表示と言えましょうか。
 昨年来右肩上がり相場で、トランプラリーと囃し立て楽観が支配する中、2月に最高値を更新した米株式市場ですが、下落基調に転じたなら、トランププットと呼ばれていた相場下支えの口先介入への期待も剥落して、マグニフィセント7に代表される巨大ハイテク銘柄で集中的に押し上げられた平均株価の割高修正トレンドに入ったのかもしれません。
 米国の景気関連指標は弱含むデータが続いており、米債券市場では長期金利が短期金利の水準に向かって急低下。これは債券マーケットが米景気後退を織り込み始めたシグナルと捉えられます。いずれにせよ、トランプ大統領の再登場が、これまでの世界における政治・経済ヒエラルキーを一変させ、同時に長く続いた金融市場のメガトレンドを大転換させる、歴史的端緒になることは間違いないと言えそうです。
 

骨太長期投資家の優位性

 第二次大戦以降の世界は、少なくとも西側主要国間では互恵性と自由貿易を共通秩序として、平和裏な発展が実現して来ましたが、米国の孤立主義への急転換によって、政治・経済・外交・安全保障からESGなど社会的共通目標に至るまで、あらゆる前提が瓦解しようとしています。そして金融市場は、此の先のグローバルな対立と分断の顕在に対して、大きな価格変動で反応せざるを得ず、短期筋やマーケットタイミング投資家はその混沌に右往左往を繰り返すことが新たな日常となるでしょう。
 他方、新NISAが導く制度設計は無期限の非課税枠で、その意図は言わばエンドレス長期投資への行動勧奨と言えましょうか。投資資産を時間を味方につけて育てて行きながら、人生プランに則って計画的に活用して行く。こうした生涯軸で目標を見据える本格長期投資家にとっては、気まぐれなトランプ政策に周章狼狽するマーケットのカオスを冷静に俯瞰して、下落相場をバーゲンセールと買い手にまわることが出来ます。
 骨太長期投資家は、投資先の成長する力が衰えぬ限りは、悠然と保有を続けることが出来ます。市場の大きな下落局面での、マーケットタイミング投資家とのこうした行動対比こそが最大の強味であり、長期的運用成果として積み上がる超過収益の源泉になるわけです。
 

顕わになるフィロソフィーの有無

 トランプ政権に従順である方が得だと考え、少なからぬ企業がDEI(多様性・平等性・包摂性)ポリシーを廃し、大手の金融機関や運用会社まで脱炭素国際枠組みから離脱し始めています。こうした政治的要因による社会秩序の動乱に際して、各社の経営におけるあらゆる哲学理念の真贋が問われていると思います。
 企業パーパスが本当に信念に裏打ちされたものであるか、運用会社においては運用スタイルや投資判断基準が右顧左眄するようでは、骨太長期投資を語る資格がありません。否応なく、企業も運用も選別のふるいにかけられる。そして本物の真価が問われる時代に入ったのです!

2025年3月31日
なかのアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 中野 晴啓

 


 

ご留意事項

本コラムは情報提供を目的とするもので、商品勧誘を目的としたものではありません
投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。その結果、購入時の価額を下回ることもあります。
また、投資信託は銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。
各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

商号:なかのアセットマネジメント株式会社(設定・運用を行います)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3406号
加入協会:一般社団法人投資信託協会

SNS各公式SNSでも情報を発信しています

line LINEでは、各種情報の配信、セミナーの案内も行っています。
ぜひ、「友だち追加」の上、セミナーなどにもお越しください。

followme

NISA成長投資枠で
つみたてが出来る
ファンドです!

NISA成長投資枠でつみたてが出来るファンドです!

つみたて王子 中野晴啓の骨太なアクティブ
長期投資

つみたて王子 中野晴啓 詳しく見る
Page Top